誠実な詐欺師 (トーベ・ヤンソン) を読む

「誠実な詐欺師」とは奇妙な題名だ。
「誠実な詐欺師」とは誰なのか。
大好きなムーミンシリーズの
トーベ・ヤンソンの作品となれば
読まないわけにはいかない。

舞台は北欧の小さな漁村。

主な登場人物は3人

「カトリ・クリング」
 誠実だが人との付き合いがうまくない
ものごとを金銭的、事務的に処理するのは得意
マッツのヨットの代金を合理的に工面しようとする。

「マッツ」
カトリの弟 ヨットを設計し、自らヨットを持つことを夢見ている。

「アンナ・アエメリン」
お金持ちで何不自由なく暮らしているが世事に疎い。
お人よしだが彼女も村人の中では孤独である。



物語は、冬の小さな閉鎖された漁村の雰囲気の中で進む。
村で起こることは何もかも知っているが
決して口にはしない村人たち。

結局、マッツはヨットを手に入れるのだが
あらすじはネタばれするので書かないでおく。

ムーミンシリーズと同じく
無邪気なようであるが
人生の機知に富んだ文章が展開する。

大団円で、3人が春の訪れとともに
過去の殻を捨て、春の新しい空に向かっていくのがいい。


実は
「アンナ」は、ムーミンを書く「ヤンソン」であり
「カトリ」もまた、冷静な目で人生を文章に紡ぐ
「ヤンソン」ではないか。

「誠実な詐欺師」は
「ヤンソン」であり
また、この作品を読む「私」ではないか。

人生において
人はいつも、「誠実な詐欺師」なのだから。

こう思わせてしまうのは、
ヤンソンの罠に
まんまと嵌ってしまった証拠かもしれない。




冬から春に向かう今の時期に
読むのにぴったりの作品だった。








誠実な詐欺師 (トーベ・ヤンソンコレクション)

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