もうない「パラダイス」という名の中華料理店 2013

恒例の高校時代の同窓の忘年会がある。
行きつけの中華料理店が店を畳んで、今年で3年になる。

当然、違う店で集まるのだが、
幸いなことに、いつものメンバーが欠けることなく集まる。


例によって、家族のこと仕事のこと。






華僑の友人曰く
「僕らが高校のころ、まだ世の中には、余裕があったよね。」

そのことは、僕もよくわかっている。

彼の言う余裕とは、
私なりに言い換えれば
いわゆる機械を組み立てる際の「遊び」みたいなものが
世の中にまだあったということだ。





彼と会うたび、僕は
村上春樹の短編「中国行きのスロウ・ボート」を思い出す。



それでも僕は、かつての忠実な外野手としての
ささやかな誇りをトランクの底に詰め、
港の石段に腰を下ろし、
空白の水平線上にいつか姿を現すかもしれない
中国行きのスロウボートを待とう。
そして中国の街の光り輝く屋根を想い、
その緑なす草原を想おう。

だから喪失と崩壊のあとに来るものが何であれ、
僕はもうそれは恐れまい。
あたかもクリーン・アップ・バッターが
内角のシュートを恐れぬように、
熱烈な革命家が
絞首台を恐れぬように。
もしそれが本当にかなうものなら・・・

友よ、中国はあまりに遠い。





画像

                                  2009 神戸港



少なくとも、あの震災さえも乗り越えた、
古いショップハウスの形態を残した、あのころの中華料理店は
僕たちの楽園だったのかもしれない。




皆と分かれた帰りの地下鉄で、ある詩の一片を思い出す。

ぼくらはみんなタヒチを見出すまえの
取引所員ポオル・ゴオガンたちなのだ
   「何処へ」 飯島耕一 2013.10.14没







中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)
中央公論社
村上 春樹

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 中国行きのスロウ・ボート (中公文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル







ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック