忘れられた日本人(宮本常一)を読む

宮本常一の著作では、まずこの本であろう。幸いなことに図書館で借りたのは、未来社の1960年刊行第一刷であったから、まさしく宮本がこれを世に問うことになった初版本で読むことになる。多くの人に読まれたのか、装丁がきれいにやり直されている。今でも図書館では、このような本の修理をやっているのだろうか。活字も今の電子印刷でない、金属活字本で懐かしく感じた。

DSC_2830.jpg


思ったより雑多な構成である。雑誌に連載したものをまとめたものだからだろう。話の内容も、日本各地の古老から聞きだした話、それも身の上話と言った内容だから、はたしてこれが民俗学と呼ばれる分類なのかと問われれば、どうかとも思う。

「土佐源氏」という有名な一編があるが、これなどまるで、物語である。しかし、実際の地名「檮原」が出てくるので、現地でなにがしかのそういった話を聞いたのかもしれない。

同じく「土佐寺川夜話」は四国の山中で出会った老婆の話が出てくるが、これはカッタイ病患者が遍路するという話として実際に遭遇したものと思う。松本清張の「砂の器」の冒頭シーンを思い出す。またこれには「シライ餅」というヒガンバナの塊茎をさらして毒抜きして食べる話も出てくる。ヒガンバナは飢饉危急食としてあったというのは聞くが、四国の山中にあっては昭和初期までそれが行われていたことがわかる。


本のタイトルどおり、このような人々が日本にいたということ、それらの人々が、津々浦々の村や町を形作っていったということを、忘れなれないように記録した本である。




忘れられた日本人 (岩波文庫) - 宮本 常一
忘れられた日本人 (岩波文庫) - 宮本 常一



忘れられた日本人 (岩波文庫) - 宮本 常一
忘れられた日本人 (岩波文庫) - 宮本 常一



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント