ピケティ入門 (竹信三恵子)

ピケティの「21世紀の資本」はやたらと分厚くて、資料がいっぱいで結局のところ最後までたどりつけなかった。
ピケティの理論は、マルクスの直感とクズネッツの統計をもとにした数量分析を盛り込んで、長期間の富の格差を分析した。道理で、21世紀の資本はくどいほど数量分析のページが多いのだ。
この本は、日本の社会状況を挙げながら、ピケティ「21世紀の資本」を解説してくれる。




格差はなぜ開くのか。それは本人の努力とは無関係に引き継がれる「資本」にある。
このような資産から上がる収益は、4~5%で、この率は利率が人間の心理でこのくらいのところにあり、経済成長はこれを超えることはない。という至って単純な理由である。

ピケティは、18~19世紀は格差拡大時代で、19世紀のパリを舞台にしたバルザックの小説「ゴリオ爺さん」を例に、法律家となり働くより下宿屋の娘と結婚してその資産を手に入れるほうがいいという、資本優位の例をあげる。



第1次大戦から第2次大戦の間は、格差の縮小の時代だった。それは、ロシア革命などによる欧州の裕福層の没落、戦費調達のため裕福層への累進課税、1929年の世界恐慌、計画経済による格差拡大に歯止めがかかかる政策による。
この格差縮小の時代は、18世紀から300年間のうちわずか60年ほどで、1980年代以降は格差拡大に戻る。




1980年以降の格差拡大は「業績主義」によるところが大きい。「経営能力」を理由に上げられる上級役員の報酬は一般労働者より大きく、ピケティは「地主社会から管理社会へ」と表現する。


80年代の日本では、所得税の最高税率の引き下げ、国営企業の民営化による公的財産の私有化が格差拡大をさらに加速した。
資本/所得比率は、70年代は3だったのが、90年代には7となった。




格差の縮小方法として、ピケティは教育、移民、インフレを挙げるが、それはどれも欠陥があるとして、「所得に対する累進課税」と「資産に対する国際的な累進課税」を奨める。国の経済政策は、国民の意思が大きな比重を占める。ピケティはルノーなどの大手企業の国有化は、国民感情により起こった。英国や米国の新自由主義・民営化路線は70年代の経済の出遅れから起こったという。


さすがピケティは、フランス革命の国の「市民」だと思う。
一方我々は、ピケティの言う「所得に対する累進課税」と「資産に対する国際的な累進課税」を日本の経済政策として選択できるのだろうか。







ピケティ入門 (『21世紀の資本』の読み方) - 竹信 三恵子
ピケティ入門 (『21世紀の資本』の読み方) - 竹信 三恵子


トマ・ピケティの新・資本論 - トマ ピケティ, 村井 章子
トマ・ピケティの新・資本論 - トマ ピケティ, 村井 章子

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