山岳信仰(鈴木正崇)

空海の密教と山岳宗教は深いつながりがある。そういった縁により手に取って読むことになった。


農耕民の山の神
農耕民にとって山は水の源であり、山の神は農耕の守護神である。春には山の神が里に下り、秋には山に帰る。祖先の霊が33回忌を終えると、高い山で山の神と融合する。


山中他界観
死者の霊魂が赴く場としての山。埋葬を山仕事、墓堀をヤマイキなどという。死者の霊魂が集まる山として、恐山、月山、相模大山、白山、立山、高野山、伊勢浅熊岳、那智妙法山など。


諏訪の神
狩猟の神の諏訪の神は、仏教では罪業となる殺生の意味を逆転させ、殺生は獣類を救って成仏させる。諏訪の勘文は「前世の因縁で業の尽きた動物は、野に放つと長く生きられないので、人間の身に入ってこそ同化して成仏する。」と唱える。


空海の真言密教
「金剛頂経」=金剛界=智=主体
「大日経」=胎蔵界=理=客体
智と理の一体化を目指した。
両界曼荼羅を掲げ、大日如来と一体化する儀式を行う。
自然界を曼荼羅と概念し、山々が仏や明王の居地であり、山を歩くことで曼荼羅と一体化する。
山での体験は、大日如来が説く世界であり、曼荼羅そのものである。


大峯山の峰入り
吉野を金剛界、熊野を胎蔵界。山を金剛界、谷を胎蔵界とし、金剛界、胎蔵界の一体化をする峰入りの修行を行う。金剛界は男性原理、胎蔵界は女性原理で金胎不二は陰陽和合である。山を胎内や子宮とし、峰入りの期間は赤子と観念する。75日の峰入りの期間は、妊娠から出産の期間でもある。山は死後の世界でもあり、生まれる前の時空間でもある。


修験道
山岳宗教を基盤として、仏教や道教、陰陽道、巫術(シャーマニズム)などを取り込んで展開し、権現信仰を中核に神仏習合を維持してきた。原型は奈良時代の聖などの山岳行者で、平安時代に密教の影響を受け、鎌倉時代に役行者が祖に祀り上げられ、「修験道」と体系化した。
室町後期には教団化し、「勧進帳」にあるように諸国を移動する情報伝達者となる。
江戸時代になると、幕府の修験道法度が定められ、山岳宗教の中心地は権力者の寄進に影響されるだけでなく、信者の講によって維持されるまでになった。参拝の便を図る「御師」が形成され、信仰と娯楽を組み合わせた、男子15歳の通過儀礼や遠方の参拝を代表する代参講を行ったりした。





山岳信仰 - 日本文化の根底を探る (中公新書) - 鈴木 正崇
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山と神と人―山岳信仰と修験道の世界 (日本文化のこころ その内と外) - 鈴木 正崇
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よくわかる山岳信仰 (角川ソフィア文庫) - 瓜生 中
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