軽い手荷物の旅 (トーベ・ヤンソン)

トーベの孤独な作家活動が綴られる。 そもそも文章を書くことは孤独なマラソンのような、あるいは自己療養手段だと、村上春樹も言っている。 冒頭の「往復書簡」という、誌のようなエッセイのような文章はまさしく作家トーベの孤独な作業を表している。 13歳の日本人少女との往復書簡の形をとってはいるが、トーベの返信は何処にも表れてこない。 少…
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フランス料理の手帳 辻静雄

これはなかなかいいエッセイである。いまどきこのような本にはめったに巡り会うことはないが、それもそのはず1973年に出版されたものの復刻版である。 いいエッセイ集だからどこから読んでもとてもいいのだが、その中でいいと思ったのは「アンナの手帳」だ。これは、料理を生涯の生業にしている者に共通する、大げさだが真理のようなものが綴られている…
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全裸監督 村西とおる伝 (本橋信宏)

ブログにするにもどうかと思ったけど、これは一つの文化史でしょう。かつてビニ本というのがありましたよね。あれはどこにいったのでしょうか。あれで大々的に稼いだ人の話なのです。その会社も倒産し、その後、AVなんてものがあって、日本のバブル時代にでくわしたものだから、もっととてもバブルな会社を展開して、そしてはじけてしまう。 けっこうなボ…
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エリザベート・オーストリア皇后と銀河鉄道999のメーテル

このたび、ウィーン旅行した折に、興味を持ったのは、19世紀末にバイエルンからオーストリア皇后となったエリザベート妃の生涯である。エリザベートは宝塚歌劇にも取り上げられているので、まあ、そのような物語性のある人なのだが、それが現実にそうであったの言うのが、なかなか興味を引いたのである。当然、スタイルよくて長い髪の美人(絵を見る限り)である…
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カエルの楽園(百田尚樹)

これはどこかの国をモデルにした、とてもわかりやすい寓話である。 登場人物(カエル)の名前もなかなか凝っていて、 デイブレイク(日の出)は物知りかえるで朝と夜にいろんなことを教えてくれるというのもいいし、 スチームボートという鷲とカエルが昔戦って、実はスチームボートがいるから、カエルの国が平和というのもほくそ笑む。 まあ、気を抜い…
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第三の男、 007リビング・デイライツ の舞台

ウイーンの大観覧車といえば、第三の男が悪の論理を語る決定的な舞台。 アントンカラスのシター演奏の主題歌はあまりにも有名。 映画好きの父が、戦後すぐに見た映画でもある。 ぜひ行ってみたいと思っている。 第三の男 オーソン・ウェルズ ジョセフ・コットン CID-5009 [DVD]キープ株式会社 2014-05-16 A…
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オーストリアの歴史

ウイーン旅行を計画している。そして、いつものように事前に歴史を少しまとめておく。 ウイーンそのものはハプスブルグ家の都としては知ってはいたが、オーストリアという国家のことはあまり知らなかった。今回興味を引いたのは、あのヒトラーナチスの萌芽が、世紀末のウイーンにあるということだった。 オーストリアという国の名は、「東の領域…
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コルシア書店の仲間たち(須賀敦子)

ミラノに実際にあった本屋に日本人がかかわっていた。それも1950年代後半から60年代にかけて。 ミラノの街に住んで、結婚し、そして死別し、イタリアを去る。そういった日常のエッセイであるのだが、なぜか懐かしい匂いのする文章だ。 コルシア書店にかかわるイタリアの貴族が出てくるのだが、貴族の生活というのはこういうものなのか。ああ、こう…
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田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 (渡邉 格)

「腐る経済」とはどんな意味なのだろう。面白いタイトルの本だ。 田舎で暮らすことと都会で暮らすことの違いを経済の面から教えてくれる。 田舎で暮らすにはなにか技術を持っていないと生きてくことができない。 それは、今まで多くの本に書かれた「百姓」というのは農業だけでなく、多くの技術「姓」を持つという意味であることを思い出させる。 …
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日本のアジールを訪ねて(筒井功)

この本で言う「アジール」とは、非常に狭義で、日本の中世~近世の漂泊民の住処ということである。 いわゆる「セブリ」と呼ばれた場所のことを述べている。「セブリ」という言葉は初めて聞く。はたしてこれはアジールと同義であろうか。 むしろ、「サンカ」と呼ばれた漂泊民についての、全国各地のルポが詳しい。 そういった意味で、漂泊民について、わず…
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人間の煩悩(佐藤愛子)

人間の煩悩は108とも8万4千ともいわれるが、とかく悩みは尽きない。 佐藤愛子の小説?は読んだこともないが、夫の借金返済、生活のために多作したというだけあって、本人が選り抜いたものを集めているので、人生の機知にとんだエッセイだ。 一度も傷つかず、傷つけもしなかった人生なんて、おならみたいなもんだわ。 自分の思い通りに生きよ…
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禅マインド ビギナーズ・マインド2(鈴木俊隆)にアップル製品の思想を見る

スティーブ・ジョブズが師事した師の本であるというので読んでみる。 原文は英文であるのでその翻訳であるので、少し日本語で語るのと異なった感触を受ける。 禅の問答よろしくつかみどころのない文章であるようで、よく読むと教えられることもある。 ひょっとすると、ジョブズがI-podなりI-phoneを作った時に参考にした思想が、ここにあ…
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日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか(矢部宏治)

文献を駆使し文を展開しているので、なかなか読むのに難儀な本である。 どうもこういうことらしい。 マッカーサーは、平和条約締結後の日本は 非武装・中立、日本本土には米軍基地は置かない、沖縄に強力な空軍を置けばアジアの沿岸は防衛できる。と考え、国連の理想を日本国憲法で反映することを望んでいた。 サンフランシスコ平和条約で…
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インドの科学技術情勢 (JST/CRDS)

インドは興味ある国であるが、彼の国の日本に入ってくる情報は少ない。 面白そうなタイトルに魅かれて、ぱらぱら読みする。 メモ インドのジニ係数は33.9で日本の32.1に比べると貧困の度合いが低いように見えるが、実際はまだ全体的に貧しいからである。ちなみに、ベトナム42.1、中国42.1、アメリカ40.5 世界最大の民…
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置かれた場所で咲きなさい(渡辺和子) を読む

2・26事件で父親の死を目の前で目撃したのが、9歳。そののち、ノートルダム修道女会に入り、マザーテレサ来日の時には、通訳として付く。そのような経歴の人の、エッセイである。 そのような人であるから、十分悟りきっているかと思えば、ある時期、鬱に陥ったり、日々の些細な場面で自我を出して反省したいなどと書いている。しかし、さすがに多くの言葉は…
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「この世界の片隅に」を見る 片渕須直・こうの史代

この世界の片隅にを見に行った。舞台は昭和19年の呉。戦時中の一般国民の生活が、主人公すずを通して語られる。ごく普通に日々の主婦としての仕事をし、困難に遭遇しても前向きに生きている、健気な「すず」の姿に思わず涙腺が緩んでしまうことがしばしば。 戦争という、非日常下にありながら、家族とか食事とか、ごく普通の日常を守りながら生きていく姿…
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宮本常一離島論集(全国離島振興協議会監修) を読み始める

宮本常一といえば、民俗学者、オリンパスペン、離島振興法を思い浮かべる。その離島振興法が議会を通過し、離島振興協議会の機関紙「しま」に掲載された論集の集大成を見つけてしまったので、思わず読み始める。 離島振興法が成立したのは、昭和28年(1953)であるが、すでにその時、日本津々浦々の離島の退廃が進んでいたこと、それから60余年、そ…
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クマゼミから温暖化を考える(沼田英治) を読む

確かに神戸にずっと住んでいるが、子供のころに比べて、クマゼミの数が増えて、他のセミ(アブラゼミとかニイニイゼミ)の声を聴かなくなったと思っていた。筆者は研究者の目で、科学的にそれを実証していく。 こんな研究は何の役に立つのかと言われるかもしれないが、筆者はそれに対して述べていることがよかったので記録しておく。 近年の大学研究の予…
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これでわかるタックスヘイブン(合田寛)

タックスヘイブンといえば、パナマ文書で有名になった租税回避地のことである。 税金は、国家を運営する上での必要なものであるが、国際化した企業体、あるいは一部の個人は、その徴収をうまくすり抜けて、逃れる方法を考える。それが、タックスヘイブンという国というか地域なのだ。 驚くべきことに、アマゾン、アップル、グーグル、ドトールといった一…
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Stocks for the Long Run 株式投資 (ジェレミー・シーゲル)

アメリカ株式投資において、過去の多くのデータを駆使しながら、市場に勝つにはどうすればいいかのヒントを与えてくれる。 しかし、データーは過去の結果であり、また、プレーヤーは市場でしか存在しないわけで、そもそも「市場に勝つ」という言葉は矛盾を孕んでいる。 正しくは、長く市場にいられる個人プレーヤーなら、歴史の中で、また、市場平均と比…
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人生を決める「ありがとう」と「すみません」の使い分け(七條千恵美)

日本人は「ありがとう」の代用に「すみません」を使うことが多い。 このことは、私も認識しながら、ついつい「すみません」ということが多い。 おそらく、日本人は親切を受けると、相手に迷惑をかけているのではないかという意識が強くてそうなるのかもしれない。 本書は全体の流れとしてまとまりに欠けるところもあるが、なるほどと思わせるところも…
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神とともにいまして(God be with you till we meet again)

クリスマス、年末のこの時期になると、讃美歌をよく聞くようになる。 朝日新聞12/25「折々のことば」にも 讃美歌405番のフレーズが取り上げられていた。 実はこの God be with you  というフレーズは、26年前に聞いたことがあった。 26年前、バイエルン州に、ひとりで研修に行っていたのだが、 研修中にお世話にな…
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白洲正子の墓所に参る

仕事場のすぐ近くに白洲正子の墓碑があるのは気が付いていたが、 最近、白洲正子の自伝を読んだので、墓参に行くことにした。 わざわざ身内でもない人の墓参などと思うかもしれないが、 あの、目利きの白洲正子が先だった夫、白洲次郎の墓碑を自分でデザインして、 自らの墓碑も作ったということに興味があったのだ。 仕事場から、歩いて15分…
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刀の日本史(加来耕三) を読む

日本刀は世界でもまれな武器である。 「軽くて折れず曲がらずよく切れる」 武将の武器への願望であるが材料技術的には相反する。 そういった奇跡の武器である日本刀という視点から、 日本史散歩ができる面白い1冊だった。 よく古墳から出土するのは、太刀と呼ばれる直剣である。 青銅製からより強度の高い鉄製に移行する。 豪族は、…
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「ためない練習」 (名取芳彦)を読む

お坊さんによる、いわゆる断捨離の本。ものばかりでなく、精神面でも断捨離がいい。 いくつかなるほどと思うことを記録しておく。 叱ると怒るは違う  怒る 欲求が満たされないときに、妨げとなる対象に向かって攻撃的な感情が発散すること。  叱る 相手を善導しようとする意図がある。 我慢  やりたいと思…
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