大洪水の前に(マルクスと惑星の物質代謝) 斎藤幸平

マルクスは資本論を完成せずに亡くなってしまったが、彼のノートによると、経済活動による資源の枯渇や生態系の破壊と言った環境問題についてすでに気が付いていた。それらのことは今まで、研究者によってもあまり気に留められなかったが、やっとこの時代になって論ぜられ始めた。

本書はマルクスの専門家によって書かれた論文をもとにしているので、一般人の私にとっては難解である。しかし、つまみ読みをすることで、資本主義の資源への略奪が、環境破壊を引き起こしていることを、すでにマルクスと後継のエンゲルスは気づき、その解決策を模索していたことを知る。



資本が労働者の酷使によって、健康や寿命が犠牲になることについて、資本がまったく顧みないという問題。結局は止められない人口減少や気候温暖化、人類の退廃について、資本はまったくその運動を止めることはない。

どんな株式投機の場合でも、いつかは雷が落ちるに違いないということは誰でも知っているのであるが、しかし、誰でもが望んでいるのは、自分が黄金の雨を受けとめて安全な場所に運んでから雷が隣人の頭に落ちるということである。
「大洪水よ、わが亡き後に来たれ!」これが、すべての資本家のスローガンである。

残念なことに「大洪水よ、わが亡き後に来たれ!」という態度は、現代においてますます支配的となり、我々は一向に自らの態度を改める気配はない。とりわけ1%の裕福層は自分たちだけは生き残る対策に向けて資金を蓄えているし、技術開発にも余念がない。

これは単なる個人のモラルの問題でなく、社会構造的問題である。
今や大洪水という破局を防ごうとするあらゆる取り組みが、資本主義との対峙なしには実現されないことは明らかである。


今回のコロナ禍は大洪水の予兆、いや大洪水そのものだと思うが、それにも関わらず「資本」はGo To何とかとかを繰り出す始末である。ニュヨークダウに至っては史上最高値を更新した。
はたして、持続可能なポストキャピタリズムを我々は目にすることができるのだろうか。


大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝 (Νuξ叢書) - 斎藤幸平, マツダケン
大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝 (Νuξ叢書) - 斎藤幸平, マツダケン

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